POWER RESET（パワー リセット）

MY PERFECT WORLD　/　2020年　/　73点

ブラジル出身のパワーメタルバンド、1枚目のアルバムです。

レオナルド・オリベイラなるマルチプレイヤーがボーカルを含む全ての楽器を一人で演奏しているバンドです。更に録音も彼の自宅で行われたらしいです。

レオナルドはこれまでどこかのバンドに所属していた事も無いようで、言うなれば「メタルオタクがたった一人で作った究極の自主製作アルバム」と言った所ですかね。声を聴く限り、かなり若そうですが、彼は一体何歳なんだろう？

音楽性は初期ANGRAを思わせる適度にシンフォニックな典型的パワーメタルです。早すぎず遅すぎない心地良いスピード感、戦いに赴く戦士ではなく、少年少女が偶然魔法の世界に行っちゃった的なマジカルな雰囲気を醸し出すメロディなど、極端に人を選びそうな癖が無く、パワーメタル好きなら誰でもサクッと聴ける、非常に聴きやすいサウンドだと思います。

ただ、やはり素人臭さはあります。ボーカルもギターもドラムも決して「上手」と言えるレベルではなく、ハッキリ言ってしまえば商業レベルにギリギリ届いていません。ドラムなんてすごく単調だし、恐らくパソコンツールか何かを使ったんじゃないかと思われます（違っていたらすいません……）。

とは言え、何の実績も無い人間が、たった一人でここまでの作品を作ったと考えれば大したモノだと思います。表題曲である「My Perfect World」のピアノの使い方など、メロディセンスには非凡なモノを感じるし、今後鍛錬を重ねればかなりの作品が作れるのではないかと期待が持てます。

お気に入りは「Illusion of Time」。スピード感があまりありませんが、歌メロが良かったです。

まだまだこれからですが、逆を言えば「今後大化けしそう」とも思えるバンドです。次はどんな作品を作ってくるのか、楽しみです。